かなり物理、化学を駆使したトリックを使う犯行でなかなか見ごたえありました。
ゲストは木村了。天体物理学者の星野を演じます。
前回のあらすじ
前回のあらすじ&感想は以下の記事にまとめました。



相棒5話のあらすじ(ネタバレ含む)
5話の出演キャスト
おもな出演者は以下のとおり
- 杉下右京(水谷豊)
- 冠城亘(反町隆史)
- 青木年男(浅利陽介)
- 天体物理学者 星野亮(木村了)
あらすじと感想
相棒シリーズではちょっと珍しい展開をみせるシナリオでした。
完全犯罪で高校時代の友人を殺そうとしている天文物理学者星野を、偶然、別の捜査をしていた特命係の右京と冠城が遭遇し、目聡く不審な点を見抜いた右京が、星野の板書した数式から犯罪意図と方法を見抜いて、止めに入ります。
最初から犯人というか、犯罪の姿が見える展開は「古畑任三郎」とか「刑事コロンボ」のような展開で、次に星野はどう動くのか、右京はそれをどう見抜くのかという、推理対決の様相を見せる点がなかなか面白かったです。
星野の高校時代の友人は、かつて高校の部活で起きた化学実験事故で女子生徒が亡くなったのは、星野の過失であるとして大金を強請るのですが、イギリス留学と結婚を控えた星野は、様々な犯罪事件を検証し、科学的に計算して、完全犯罪により友人の殺害を目論んでいます。
しかし犯罪知識は当然のように右京の上で、ことごとく参考事例を指摘されるし、数式から実行条件まで悟られるという、ちょっと間が抜けた感じが星野にはあります。
シミュレーション能力は高くても、実行力が伴わないのでは、知性と教養もありながら行動力もある右京に敵うはずもありません。
それらの攻防が面白いので、見ている方はついつい思考停止になり、星野の計画だけに目が向いてしまいますが、それがドラマスタッフの巧みな誘導です。
星野の計算通りに友人は死んでしまいます。しかし完全犯罪にこだわる彼は、それを自分の目では確認せずに、ネットで知ります。
そこにこの星野の計算違いがありました。頭だけで考えるタイプの人が、陥りやすい失敗ですね。やはり二次情報は当てになりません。
星野はふと正気に戻り、自分がしでかした取り返しのつかないことに絶望してしまいます。何かに夢中になると我を忘れる気質のようでしたから、すべて終わってはっとしたのでしょう。
星野が自殺すると読んだ右京は、彼が残した情報を青木に解析させて、居所を突き止めて、自殺を阻止します。
そしてどんでん返しが起こります。
実験事故で女子生徒が亡くなった件を調べていた右京が真相にたどり着いていました。
そこはさすがです。
実験事故の過失責任は、死んだ友人にあり、しかもその友人を殺したのは、かつて彼らの部活の顧問でした。
顧問は女子生徒と恋愛関係にあり、動機はその復讐でした。生徒と教員の禁断の恋という展開はありがちですが、星野のうっかりぶりは、ここまでくると微笑ましいくらいでした。
とはいえ、犯罪を計画し、人殺しをしようとしたのは間違いないので、星野は職を失い、留学も白紙になりました。
殺人犯になるよりも、その程度で済んだのだから、右京たちに感謝すべきでしょう。最後に彼女だけは失っていないのがわかり、ちょっとだけほっとしたのは、本当は憎めない星野の性格が、見ている者にも伝わるからでしょう。世の中は不確定要素が多すぎて、どんなに計算しても、抜け落ちてしまうものや、見落としてしまうことがあるという教訓でもあります。
あまりこれまでの相棒にはないパターンの、不思議な安堵感が残る、楽しい内容でした。
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